採卵から胚/胚盤胞移植までの流れ
採卵時、卵胞液とともに吸引された卵子を直ちにディッシュに移し、実体顕微鏡下で卵丘細胞塊に包まれた卵子を探し、ダメージを与えないようにやさしく採りあげ、洗浄し、培養液に移してインキュベーター(孵卵器)に入れます。
生体内では卵子は排卵前後に受精能を獲得し、卵管に取り込まれてから精子と出会うまでに数時間を要し、受精します。体外受精では採卵時に卵の成熟度を判定し、受精可能な状態に成熟するまで前培養をする必要があります。
前培養ののち、卵子1個に対し良好な運動精子10万となるように媒精し、共培養します。
媒精の14〜18時間後に卵子を顕微鏡下に観察し、正常な受精が成立した2前核胚を選び、異常な受精をした胚(前核の数が3個以上の胚)を淘汰します。
受精後5〜6日間かけて受精卵は胚盤胞になるまで分割を繰り返します。
胚/胚盤胞移植
受精卵の移植は採卵の3〜5日後に行います。受精卵はその形態(分割の進み具合、割球の均一さ、フラグメントと呼ばれる小球の多寡)により良好胚かそうでないかを判定し、最も良い胚から移植します。
ただしこの時点での判定が常に的確であるわけではなく、形態的に良いと判定された胚/胚盤胞を移植しても妊娠が成立するとは限らず、あまり良好とはいえない胚/胚盤胞を移植したあと元気な赤ちゃんが生まれることもあります。
移植する個数は原則1個、最大2個までです。残りの胚はガラス化法(クライオトップ™)により凍結保存します。わが国の最近の統計によると採卵した周期に新鮮胚を移植するよりも、次の月経周期以降に凍結胚/胚盤胞を融解して胚/胚盤胞移植するほうが妊娠率が高く、銀座レディースクリニックでも同様の傾向がみられます。つまり、採卵数日後の子宮内膜より、次の月経周期以降の子宮内膜のほうが状態が良く、凍結融解による胚/胚盤胞へのストレスはごくわずかであるということです。
胚/胚盤胞移植は細く柔らかいカテーテルを子宮口から子宮内腔に挿入して行います。移植は痛みを伴いませんので麻酔は用いません。胚移植後は30分ほど休憩したのち帰宅します。
<不妊症の治療方法>