顕微授精 ( ICSI ) とは

銀座レディースクリニック 顕微授精(ICSI)

受精において精子は卵子の透明帯を自力で通過し、卵細胞に到達します。しかし何らかの原因により、受精がうまくいかないこと(受精障害)があります。

顕微授精は、マイクロマニピュレーターという器械を用いて、非常に細いガラス管に精子を1つだけ吸引し、これを直接卵細胞質に刺し入れ、受精を促進する方法です。(この技術は厳密には精子が卵子の中に進入するのを補助する技術なので、全ての精子と卵子が受精するわけではありません)

顕微授精を行う場合

体外受精だけでは治療(受精卵を得ること)が難しいと思われる以下のような場合が顕微授精の適応となります。

  1. 精子の受精能低下が考えられる場合

    精子の数が少ない、動きが良くない、奇形精子が多い、精子先体異常

  2. 卵子透明帯異常

    卵子を被っている透明帯に問題があり、受精が妨げられる場合があります

  3. 原因不明受精障害

    体外受精を行ったが受精率が低い、あるいは全く受精しないなどの障害がみられた場合

  4. 精巣精子あるいは精巣上体精子を用いた体外受精の場合

顕微授精の利点

  1. 1つの精子で受精が可能
  2. 運動していなくても生きている精子であれば受精が可能
  3. 先体反応(過去においては受精には必須と考えられていた、受精の際に起こる精子の形態変化)を起こしていなくてもよい
  4. 受精率、妊娠率とも通常の体外受精とかわらない
  5. 奇形精子でも染色体が正常なら受精、妊娠が可能
  6. 無精子症でも精巣上体精子、精巣精子が採取可能であれば、ほぼ同様の成績が得られる

顕微授精の問題点

  1. 精子が人為的に選択されるということ

    自然の選択(競争)が起こるところに人の手が加わるという倫理観の問題、また正常な精子を選ぶ可能性もあれば異常な精子を選ぶかの可能性もあるということ

  2. ガラス管を差し入れる操作が原因で卵子が変性する可能性(10%以下)

    顕微授精による出生児に自然妊娠より先天異常の割合が統計学的にわずかに高くなるというエビデンスが報告されています。また長期的にみて障害が起こらないかなどの未知の課題を含んでいます。顕微授精で生まれた児と自然妊娠により生まれた児の発達には差はないという報告もされています。

    ヒトの遺伝情報をつかさどる染色体には44本の常染色体と2本の性染色体があります。女性はXとX、男性はXとYなので、Y染色体は必ず父親由来です。近年Y染色体の特定部分に精子形成の遺伝子が存在することがわかってきました。無精子症患者の約10%にこの部分の微細な欠損が見つかっており、原因因子と考えられています。そのため、顕微授精による治療で男子が生まれた場合父親同様に不妊症となる可能性が指摘されています。

費用について

体外受精-胚移植と同様、健康保険の適応外(自己負担)です。体外受精-胚移植の費用にICSIの手技料として10万3000円が加算されます。

治療成績について

銀座レディースクリニックにおける顕微授精の治療成績

    2016年 2017年 2018年
採卵あたり
妊娠率
35歳以下 67.2% 45.6% 64.7%
36歳〜39歳 144.4% 50.0% 39.1%
40歳〜43歳 39.1% 20.0% 200.0%
44歳以上 0.0% 0.0% 0.0%
採卵あたり
生産率
35歳以下 50.0% 31.6% 64.7%
36歳〜39歳 100.0% 29.2% 34.8%
40歳〜43歳 34.8% 8.0% 66.7%
44歳以上 0.0% 0.0% 0.0%
胚移植あたり
妊娠率
35歳以下 40.2% 30.5% 47.8%
36歳〜39歳 41.9% 34.3% 24.3%
40歳〜43歳 27.3% 13.9% 16.2%
44歳以上 0.0% 0.0% 0.0%

日本産科婦人科学会では全国の医療施設に義務づけられた体外受精の結果報告をまとめて毎年報告しています。出産の結果を含めたデータを集計するため、2年前までに行われた体外受精の結果が公表され、インターネットでも閲覧できます。この報告書には個々のカップルのデータは含まれておりません。

【参考】日本産科婦人科学会登録・調査小委員会による 新鮮胚を用いた治療成績(2009年)

  体外受精胚移植(IVF-ET) 顕微授精(ICSI)
胚移植あたり妊娠率 24.3% 20.3%
単一胚移植での妊娠率 24.3% 19.8%
採卵あたり妊娠率 11.5% 9.2%
妊娠あたり流産率 23.6% 26.4%
胚移植あたり生産率 16.9% 13.5%

治療を決める前にご相談を

治療を決める前にご夫婦でよく相談の上、ご不明な点や、ほかの治療方法との比較、自治体の助成金についてもご相談ください。

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