男性に原因があるため不妊症になるカップルは年々増え、不妊カップルの30~40%を占めているといわれています。
- ①男性不妊にはどのような原因がありますか?
- ⅰ精液の異常
- a.精子減少症
精子の濃度が1500万/ml以下と精液中の精子数が少ない場合
- b.精子無力症
活発に運動する精子の割合(運動率)が40%以下と低い場合
- c.精子減少・無力症
精子の数が1500万/ml以下でかつ運動率が低い場合
- d.その他の精液の異常
精液の量が0.5ml以下と少ない場合や、精液の中に白血球が多く混入している場合も問題です。またまれに精子数や精子運動率が正常範囲にあるにもかかわらず精子に受精する能力(受精能)が低下している場合もあります。
- e.精子に対する抗体ができている場合
精子に対する抗体=精子不動化抗体を女性だけでなく男性がもっている場合もまれにあると報告されています。(女性が精子不動化抗体をもっている場合、体外受精が必要であることがあります)
- a.精子減少症
- ⅱ性交障害
勃起障害(ED)、腟内射精障害(勃起はするものの腟内では射精ができないことがある場合)、 またセックスレスによる不妊も増加しています。ED治療薬や抗不安剤による治療のほか、人工授精による治療も有効です。
- ⅰ精液の異常
- ②精液に異常がある場合はどのような治療法がありますか?
精子異常の一部は精索静脈瘤や男性ホルモンの分泌異常、Y染色体遺伝子の異常、前立腺炎などはっきりした原因がある場合もあります。 このような場合は、手術(精索静脈瘤手術、顕微鏡下精巣内精子採取術 :MD‐TESE)や薬物療法が有効ですので男性不妊専門の泌尿器科での治療を提案いたします。しかし精子異常の多くははっきりとした原因がわからない造精障害(精子を形成する過程に異常がある)です。この場合は現段階ではエビデンスのある治療法はないため、精子の受精能を補う次のような治療を行います。
- ⅰ配偶者間人工授精法(AIH)
- ⅱ体外受精-胚移植法(IVF-ET)
- ⅲ顕微受精(卵実質内精子注入法ICSI)
<不妊症の治療方法>